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Arte Classica by Ishiguro Gallery

arte style Vol.2

 

落葉する鮮やかな色に、心潤うころとなりました。

 

9月より始まりました2ヶ月に一度の喫茶イベント「arte style」を、11月17日(土)18日(日)に開催いたしました。足をお運びいただきましたお客様に、心より御礼申し上げます。

 

11月は、亥の月(旧暦10月)亥の日の亥の刻(午後10時頃)に餅を食べて無病息災を願う古代中国の言い伝えから始まった亥の子餅を食べるという習慣があります。(2018年の亥の日は、11月3日(土)だったようで、すでに過ぎてしまいましたが。)それに因み、京都の鍵甚良房さんの亥の子餅をご用意いたしました。栗や胡麻、銀杏、そしてシャキッとした歯ごたえの柿がとても印象的な鍵甚さんの亥の子餅は、様々な食感を楽しみながら、実り豊かな秋そのものをいただいているようです。

 

抹茶は、金沢の米沢茶店の銘 加陽の白。以前金沢を旅行した際、食事の後にいただいた抹茶がするりと喉を通り飲みやすなと思ったのがきっかけで、何度か取り寄せている抹茶です。この時期、茶の湯では、5月に摘んだ新茶を詰めた茶壺の封を切り、新たなる心持ちで一年が始まるとされる月。普段と違う抹茶を取り寄せて、11月を楽しむのも良いものですね。

 

 

「arte style」は、お家にお友達が遊びに来た時に一服抹茶を点てるように、テーブルでカジュアルに飲んでいただけるイベントです。使用する抹茶茶碗は、300年ほど前から人から人へ伝わってきた古い茶碗。実際に触れることにより、今まで距離を感じていた古いもの、江戸時代、時の流れが身近に感じられます。

 

毎回異なる茶碗をご用意しており、茶碗の情報は、開催月の一ヶ月ほど前にHP「EVENT」及び「SELECTIONS」にて更新いたします。今回見逃したなという方は、是非覗いてみてください。高台や見込みの様子をご覧いただけます。

 

 

次回は、2019年1月を予定しております。
皆さまのお越しを、心よりお待ちしております。

抹茶茶碗 Arte Classica アルテクラシカ

抹茶茶碗 Arte Classica アルテクラシカ

arte style Vol.1

 

一雨ごとに秋の気配が近づく頃。

 

22日(土)23日(日)と新たなる喫茶イベント「arte style」を開催いたしました。
足をお運びいただきましたお客様に、心より御礼申し上げます。

 

江戸時代の古い茶碗で抹茶を飲んでいただくイベントは、お家にお友達が遊びに来た時に抹茶を点てて、楽しんでもらえるようなカジュアルな雰囲気。

 

今月の和菓子は、東京ではなかなか手に入らない松華堂(愛知県半田)、抹茶はしっかりとした個性を感じる松尾園(名古屋)の蓬莱の松。抹茶も、隔月ごとに異なる茶店の抹茶を予定しておりますので、お好みの茶店の抹茶を見つけられます。

 

一服点てた後は、メインの茶碗についてのお話へと広がります。今回は、お一人で参加される方が多く、じっくりと古い茶碗についてやきものについて、美しいなと思うそれぞれの物差しについてなど共有いたしました。

 

次回の「arte style」は、11月17日(土)18日(日)を予定しております。

 

皆さまのお越しを、心よりお待ちしております。

 

抹茶茶碗 Arte Classica アルテクラシカ

抹茶茶碗 Arte Classica アルテクラシカ

2017年に想う

 

年の瀬の朝、ふと見渡すと静寂な空気に、思わず深呼吸。師が走るほどパタパタと忙しいころも、残りわずかとなりました。

 

2017年、皆さんはどのような風を感じながら1年を過ごされましたか?

 

アルテクラシカの一年を振り返ると、ご来店いただいたお客様と抹茶茶碗だけでなく、背景となる江戸時代の文化や遡ってやきものの出発点となる縄文式土器、人類の文明の始まりまで思いを馳せながら会話を通して、やきものの魅力、古いものの魅力を改めて再確認する機会が多く、様々な分野の方々との出会いがありました。2018年も、、皆さまがワクワクとするような試みに挑戦をしながら、初心に返り、茶碗の魅力を一人でも多くの方に広められるよう歩んでまいります。

 

 

今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

 

年末年始の営業は、12月29日(金)より1月9日(火)までをお休みとさせていただきます。

 

 

様々な出会いに感謝の気持ちと新たなる素晴らしい出会いが沢山ありますよう、1月10日(水)より、心新たに店主ともども、皆様のお越しを心よりお待ちしております。

 

それでは、良いお年をお迎えください。

 

 

抹茶茶碗に想う

 

きりりとした寒さが続いておりますが、陽だまりの中にちらりと春の香りがする頃。

 

先日、五島美術館で開催されている「茶道具取り合わせ展」へ行ってまいりました。志野茶碗や楽茶碗、井戸茶碗など抹茶茶碗が多く展示されており、一碗一碗じっくりと鑑賞。

 

茶碗の見どころとして特に意識して作られる高台(茶碗をひっくり返した底の中央にある茶碗を支えている座)と見込み(茶碗内部の底)は、茶碗の顔ともいうべき、造形的に重要な一端を担う部分。美術館では高台を見ることは叶いませんが、名碗といわれる見込みを見比べるだけでも、共通する何かが見えてきます。産地や時代が異なる茶碗から、見込みの美しさは普遍的で、底のまた奥深く茶碗の精神性へとつながるような、そこはかとなく貴いものを感じました。

 

 

美術館を出てから、心に残る茶碗を振り返りつつ、なぜこんなにも茶碗に惹きつけられるのだろう、とふと考えてみました。

 

抹茶を飲むという、目的がはっきりとした道具であるにも関わらず、釉薬や土の表情、景色を楽しむ鑑賞としての要素があるからこそ、他の茶道具にはない、茶碗が鮮やかな所以。「いい茶碗だなー」としみじみため息の出る茶碗は、その見どころが静かな中に動を感じたり、動きの中に静を感じたり、程よく絶妙なバランスで醸し出している雰囲気を感じているから。例えば、見込みにぽっと赤みがあるとなお良いなど、鑑賞するポイントはありますが、最終的には、見どころを含めてその茶碗の持つ味わいを堪能しつつ、常に新たな気づきが湧いてくる、そんな茶碗が一番のご馳走だから、心惹かれるものなのでしょう。

 

 

語らぬ茶碗に触れることにより、人が理屈抜きに感じ学ぶことはとてつもなく多いと思う今日この頃。

 

 

アルテクラシカでは、実際に茶碗を手にとって、高台や見込みなど見どころを比べることができます。
触れながら、茶碗に想いを馳せるのも、良いものですね。

 

 

Instagram始めました
店主石黒が、選りすぐりの力強くも美しい作為を感じる高台ばかりをご紹介しております。
良い高台とはどんなものなのだろうと興味のある方など、是非覗いてみてください。何かが見えてくるかもしれません。

 

 

 

スーパーフラットに想う

 

寒暖をくり返しながら、待ち遠しい春へと近づくころとなりました。

こんにちは、アルテクラシカ店長の荒木香奈です。

 

 

先日、横浜美術館で開催されている「村上隆のスーパーフラット・コレクション」展へ行ってまいりました。前回のブログで「五百羅漢図展」をご紹介いたしましたが、その村上氏の美意識によって構築されたコレクションの数々は、とてつもなく幅が広く、古今東西まさに「スーパーフラット」に鑑賞できます。

 

温故知新という言葉が溢れ出し、その先にある未来への道標がきちんと示された様々なジャンルの美術品を前に、過去現在未来が混在した空間に佇み「我何を思う。」と自問自答しつつ鑑賞。禅問答の末に、どうにも出口が見いだせず、村上氏の世界をぐるぐると周ってみたものの、頭が真っ白になって、美術館を後にしました。

 

 

「村上隆の五百羅漢図展」と「村上隆のスーパーフラット・コレクション展」を鑑賞し終え、村上氏の投げかけに対し、とにかく圧倒されたその衝撃は、今までにないくらいでした。その記憶を忘れず、今いちど振り返り、咀嚼した先に自分なりの言葉が出てくるのでしょうが、今はまだ、もつれた毛糸玉のように言葉が混々としております。

 

 

そんな古今東西のアートを顧みる展覧会へ足を運び、思いを巡らすのもよいものですね。

 

「村上隆のスーパーフラット・コレクション展」は、4月3日(日)まで開催されています。

 

 

 

五百羅漢図に想う

 

日ごと厳しい寒さになる中、小さな鳥がチーロチーロとさえずる姿に春を想うころとなりました。

こんにちは、アルテクラシカ店長の荒木香奈です。

 

 

先日、森美術館で開催されている「村上隆の五百羅漢図展」を観に行ってまいりました。

国内で14年ぶりとなる大規模個展で、全作品日本初公開となる今回の目玉は、全長100メートルに及ぶ超大作「五百羅漢図」。一つの作品を200名ほどのスタッフと共に24時間シフト制で作り上げた「五百羅漢図」は、実際の絵のスケールや、絵画から放たれるエネルギーに圧倒され、まさに作品の中に引き込まれ、その中を泳ぐようなそんな不思議な感覚で鑑賞いたしました。

 

 

古来より、日本が海から渡ってきた様々な文化を吸収し、そのまま真似るのではなく国風に合わせてよくよく選んだものを独自にアレンジしてきたように、村上氏が日本美術を西欧文化に溶け込めるよう、しっかりとした翻訳フィルターを持っているからこそ成し得た「五百羅漢図」。原点となった狩野一信(かのうかずのぶ・1816年〜1863年 江戸後期の絵師)の代表作「五百羅漢図」も一部展示されていて、同じ題材でわずか約150年前の絵と見比べることの奥深さを改めて感じます。描き方や解釈の仕方など同じ遺伝子を持った日本人なのだろうか、と見紛うくらいに、幕末から明治、現在に至るまでの激動の時代を思わずにいられませんでした。

 

 

過去を基盤としながらも、未来を見据えつつ現代という風を感じさせ、自在に伸び縮みする作品の時間軸に鑑賞する側の心もふわりふわりと浮遊する。そんな浮遊感を感じる作品がずらりと並ぶ展覧会は、3月6日(日)まで開催されています。

 

 

 

 

風を感じる本に想う

 

穏やかな新年を迎え、ゆったりとしたお正月気分がまだほんのりと残る頃ですね。
こんにちは、アルテクラシカ店長の荒木香奈です。

 

 

お正月は、家族でごちそうを囲んだり娯楽を楽しんだりワイワイと過ごしますが、時間がたっぷりとあるので、一人じっくりと読書をするのも楽しみのひとつ。

 

 

昨年末、心待ちにしていた素敵な本が届き、お正月にゆっくりと眺めようと思い、本棚に大切に飾っていました。それは、「工芸青花」という本。

 

 

以前ブログで何度かご紹介しておりますが、創刊から1年が経ち、今回で第4号となる「工芸青花」はまた今までとは異なる風を感じました。美術工芸分野の定期講座やお茶会など本から飛び出して、ライブを開催し、空間を読者と共有することで、その都度都度の声にきちんと耳を傾ける「工芸青花」編集長菅野康晴氏のまなざしやその体感温度が、本の内容にあらわれているからこその風なんだろうなと思うもの。

 

 

まずは目次から開き、どれを読もうかなと選ぶその時がこの上なくワクワクとするひととき。今号も思わずうーんとうなるような特集ばかり。

「源氏物語画帖」と「フランスのロマネスク」など全く違うカテゴリーの内容が並び、民族性の違いや美的感覚の違いなどを美術品を通して気付くことが沢山。古今東西、互いが主張することなく在る、普遍的な人類共通の美しさや知的好奇心を感じられる内容となっております。

 

 

そんな美術品が沢山載っている本を眺めながら、心温まるひとときを過ごすのも良いものですね。

「工芸青花」は、書店やギャラリーでも販売されていますので、是非手に取ってご覧下さい。

 

工芸青花 Arte Classica アルテクラシカ 

 

ドキュメンタリー映画に想う

 

一面黄色い絨毯が敷きつめられたようなイチョウ並木から、秋の後ろ姿を感じるころとなりました。

こんにちは、アルテクラシカ店長の荒木香奈です。

 

 

先日「美術館を手玉にとった男」という映画を観てまいりました。

 

 

なかなか衝撃的な題名ですが、全米20州46の美術館を30年間だまし続けた贋作作家マーク・ランディス氏の素顔に迫ったドキュメンタリー映画。以前ある映画館で予告編を観て、お金儲けではなく慈善活動として贋作を美術館に寄贈し続け、なぜ人生をかけてまで、オリジナルではなく贋作を作るのだろうという素朴な疑問からランディス氏の強い意志を覗いてみたいと興味を持ちました。

 

 

ランディス氏にとって、15世紀のイコンからピカソ、ウォルト・ディズニーまで幅広いスタイルの絵画を模倣し美術館へ寄贈したものを、館内で展示されることがこの上なく嬉しいようです。 人を騙してからかう等という悪意は全くなく、使命感を持って全うしているんだという強いまなざしで語る姿をみて、様々な絵画を模写することで、自分自身の心の光と影のバランスをとっているんだろうなと思いました。何かに頼らないと前へ進めなくなった時、傍らにあったのは、1枚の紙と筆と絵具だったのだろう。ただただ筆を動かし、絵を描く。それを奪われてしまったら、彼は心の闇に飲み込まれてしまうのかもしれない。

 

2011年に、ある美術館職員の一人が、寄贈品は贋作であるということを発見し、信じられないような本当の物語の主人公として全米で有名になった後も、慈善活動を続けるランディス氏はこう言っていました。

 

「僕は、自分のことを芸術家と思っていないんだ。図画工作をしているだけさ。」

 

と。その言葉から、そうか、彼にとって別に人生をかけている訳ではなく、テレビをつけるように、絵具を用意して絵画を模写する、それが日常なんだ。そんなに大げさに考えることではないのさ、と言われているようで、さすが「美術館を手玉にとった男」だけあるなと腑に落ちました。心の病と向き合うという重たい内容ではなく、ランディス氏自身の葛藤や、騙された美術館学芸員の言い分など、その中に秘められた滑稽なユーモアを感じる映画から、シンプルな気付きをもらいました。

 

 

師走に入り、心がせかせかとしがちですが、そんな時こそ映画館に足を運ぶのもよいものですね。

 

 

 

美しい佇まいに想う

 

落葉した葉っぱを踏むと、くしゅりと乾いた音が響くころとなりました。
こんにちは、アルテクラシカ店長の荒木香奈です。

 

先日、三井記念美術館で開催されている「三井家伝世の至宝」展へ行ってまいりました。

 

美術館が開館して10周年の記念特別展として、かつて三井家が所蔵していたものも含めて、数多くの名品優品が一堂に展示されています。江戸時代から随一の商人と評されてきた三井家が収集した美術品を通して、日本の美術品は文化に造詣の深い豪商によって代々引き継がれ、守られてきた面が大きいということを改めて感じました。

 

 

会場を入るとすぐに、粉引茶碗三好粉引に始まり、名碗といわれるトップスターがずらりと並ぶその様子に心弾みながらも鑑賞。
茶碗は、ひとえに一碗の抹茶を服するという目的のもと作られた「用の美」の極み。だからこそ、全体の佇まい、釉薬の景色、持ったときの重さなど、すべてにおいて程よい加減のものが良い茶碗として、大切に愛玩され、愛でられたのだろうな。あー、目の前にある茶碗を、この手の内で持って触れられたらどんなにか幸せだろう、とガラス越しにそんなことを思いながらじっくりと向き合いました。

 

 

観れば観るほどに、名碗といわれるものの共通点がなんとなく見えてきたような気がいたします。技術的なロクロの上手さというものもあるのでしょうが、それ以上に、茶碗の奥に先にある何かが見え隠れするところに人々は魅了されてきたのではないだろうか。抽象的すぎる表現ですが、凛とした優美な佇まいをまとったその何ともいえない雰囲気が、この上なく愛おしいと思うからこそ、大切に代々伝世され現在にいたる。そう思わせる名碗は、時を重ねた老木のようでありながら、なお枯れない存在感に満ちあふれている。そんなそこはかとなく感じる何かに耳を傾ける楽しさに、改めて心躍りました。

 

 

ため息が出るほどに、美しい。そう思わせる展覧会は、2016年1月23日(土)まで開催されています。

 

 

 

悠久の時に想う

 

日ごと鮮やかになるイチョウの葉や、ひやりと澄んだ青空、そこかしこで小さな秋を感じるころとなりました。こんにちは、アルテクラシカ店長の荒木香奈です。

 

最近、今まで遠い存在だった美術品に接する機会があり、こんなにも美しいものがあるんだと、心に響くことが多い日々。そんな発見の一つが「俑(よう)」という中国で死者とともに副葬した人形です。古来から人が亡くなると死後の世界があると考えられていたため、貴族など位の高い人々は立派なお墓を作り、そこでの生活のために必要な家来や馬などの人形を作り、寂しくないようにと一緒に副葬したといわれております。

 

そんな漢や北魏、唐時代のやきものの作品が一堂に展示されている「俑〜YONG〜」展を観に、繭山龍泉堂へ行ってまいりました。

 

 

量感にあふれたフォルム、なめらかな曲線、かせた肌にうっすらとかすかに残る彩色の雰囲気など、悠久の時を越えてきた存在感に、ただただ感じ入っていました。豊かさの象徴であったふくよかな女性を美人とした女性像や、シルクロードを渡って中国にやってきた異国の商人など、当時栄えていた都市の活気をそのまま閉じ込めたようないきいきとした表情から、今という時を呼吸し、生きているんだなと思いつつ、時間軸のスケールの大きさと古美術品の魅力を改めて感じる作品達。そんな作品を前に、新たなる扉が開き、知ることの楽しさに心躍りました。

 

 

心地よい秋の夜長、月明かりのなか散歩をしつつ、古今東西美しいものに想いをはせるのもよいものですね。

 

 

 

Arte Classica | アルテクラシカ。江戸時代及び現代作家の抹茶茶碗を扱う店。

アルテクラシカは、古美術商石黒ギャラリーが根津美術館の向かい側にオープンした、江戸時代(古美術)及び、現代作家の抹茶茶碗を扱うお店です。併せて、現代の生活空間で抹茶を楽しむための、新しいスタイルの茶器・茶筅・柄杓等の取り扱いもしております