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Arte Classica by Ishiguro Gallery

高麗茶碗展に想う

 

何度か足を運んだ「高麗茶碗」展(三井記念美術館)へ最後の見納めに行ってきました。

お客様から「茶碗達に、感動をありがとうの御礼を伝えに行きませんか?」というお誘いがあり、

ものに対する愛情と敬意を深く感じ、忘れてはいけない心持ちだなと思いつつ、

二つ返事でご一緒しました。

 

お客様も何度か展覧会をご覧になっているので、

展示されている茶碗について感じたことや美しいと思ったことを分かち合いながら鑑賞。

 

茶碗達へ楽しませていただき、ありがとうございます、

と心の中でお礼を伝えつつ、あらためてお気に入りの茶碗の前で、じっくりと観察。

やっぱり美しい。この間観た時よりも、更に心惹かれる表情をしているなと。

茶碗達は会期も最後となり、随分とお疲れかなと思っていましたが、

いやいや、ご機嫌麗しい感じで、沢山の人々に見られることによって輝きが増しているのか、

晴れ晴れと見えました。

 

二人でやきもの談義をしながら観るのは、一人で観る時とまた異なる気付きが沢山ありました。

お互いに好きだからこそ、深読みし、あれやこれやと想いを馳せる。

それを楽しいねと分かち合うことで、頭の中に鮮やかな記憶として残るものなのかなと思います。

 

今回展示されている茶碗の気付きをアルテクラシカに持ち帰り、「高麗茶碗」(中央公論社)の本で復習する今日この頃です。

 

A

 

 

December 2019 Calendar

 

平素は当店をお引き立ていただき、誠にありがとうございます。

 

さて、アルテクラシカは、本年度2019年4月1日より、
定休日を(月)(木)、(月)(木)が祝日の場合は営業、翌日を休業日とさせていただいております。

 

12月の休業日は下記となります。
誠に勝手ながら、12月13日(金)を臨時休業とさせていただきます。

皆様のご来店を、心よりお待ち申し上げております。

 

【定休日】12/2(月)・5(木)・9(月)・12(木)・16(月)・19(木)・23(月)・26(木)

 

【臨時休業】12/13(金)

 

【冬季休業】12/28〜1/6

 

抹茶茶碗 Arte Classica アルテクラシか

タイトル

 

こんにちは。
アルテクラシカ新人のMです。すっかり秋も深まってきました。
さて先日、ブログでタイトル「眼の力」を書きましたが、
実はこれはある ”由緒正しき” 本の名前から拝借したタイトル。

 

店主( I )が古美術商としてのスタート時に師事し、古美術の基礎を学ばさせて頂き、
今なお、「自らのルーツ」と公言して憚らない、日本一の名門茶道具商、谷松屋戸田商店。
この本は、その今は亡き店主戸田鍾之助氏と御子息・博氏共著の素晴らしい本のタイトルなのです。
雑誌和楽創刊時に企画され、2年に渡って連載された対談をまとめたものですが、2004年に出版されるや否や全国の茶道具商のバイブル(!)になったと言う、知る人ぞ知る名著。
掲載の茶道具は名品揃いで、お話の内容は私には深すぎる(😅)とも言えるほど濃く、
何度読んでも毎回新しい発見があります✨
お二方の茶道具に対する愛情とお人柄も伝わり、こんな素敵な親子の薫陶を受けたなんて、
アルテクラシカ店主はなんと幸せだったことだろうと嫉妬してしまいます💓

 

というわけで、大変不遜ながら、店主の師匠の著書のタイトルを、拙ブログに拝借させて頂いた次第です。
故鍾之助氏を、「茶の湯の故事に通じその世界の生き字引」と博氏があとがきに書かれています。
ダンディな御風貌に魅力的な笑顔、次々と語られる茶道具のエピソードは、本当に楽しく、奥深く、ため息がでます。
水指に合わない蓋を、合わないカツラと呼ぶなどユーモアあふれる語り口で、深いだけではない読みやすさもあり、ページをめくるのが惜しくなるほど。
写真(畠山崇氏)も美しく、美術館の図録を見るよりもずっとためになります。

 

タイトルと言う言葉には、本の題名という意味の他に「資格の保持者」という意味もあります。
アルテクラシカが、店主の師匠の名に恥じないタイトルを持ち続けられるよう、
少しでもお力になりたい!と前のめりにさせて頂ける名著です。

 

 

皆さまもぜひ一度お読みになってみてください。
アルテクラシカ一押しの本です。
『美を見抜く 眼の力』 谷松屋一玄庵 戸田鍾之助・戸田博著 小学館刊

 

M

 

抹茶茶碗 Arte Classica アルテクラシカ

 

 

持ち主の溢れ出る愛情

 

先日、奈良国立博物館で開催されていた「第71回 正倉院展」を特集したテレビ番組を観ながら、

約1300年間保存されてきた伝世品の状態の良さに改めて素晴らしさを感じました。

 

番組内で、正倉院宝物を入れている箱も、長く残ってきた重要な役割を持っている、

として展示品と共に展示しています。と紹介されていました。

 

当時から、物に対して敬意を表し、本当に大切だからこそ、

宝物の居心地が良いように安全なようにと箱を付けていたそう。

例えば、儀式用のくつを納めておく箱には、底の部分をくつの大きさにくり抜き、

動かないように嵌め込めるよう細工がしてある、など。

 

持ち主のものを大切に扱う深い愛情を感じずにはいられない。

茶道具の次第を大切にするというような心持ちが、奈良時代からすでに始まっていたことに納得しました。

 

様々な価値観の中、ものだけでなくそれに付随するすべてを残しつつ、次の世代へと繋げていくことの意味を改めて考えさせられます。

 

(A)

筒向付の謎

 

先日好評のうちに幕を下ろしたサントリー美術館の桃山茶陶展。
私的に嬉しかったのは個人所蔵の優品が数多く出ていた事だ。
個人所蔵の優品がたくさん出ていると、「まだまだ民間にこんなにあるんだ!」
と労働意欲(?)が湧いてくる(笑)!
美術館所蔵の品は基本的には扱えないからねぇ。
職業病でございます。

 

さて、昨年の根津美術館、そして今回のサントリー美術館と、桃山関連を続けて見ていて、
前々から思っている疑問が益々強まってきた。
それは、筒向付が余りにもたくさん伝世している事実に関してである。
よく筒向付は使いにくいとか言われるけど、使いにくい物、わざわざ作るわけがない。
沢山残っていると言う事は、あの形が食べやすい何かを食べる食器として流行していたはず。
筒向付と言う使い方自体が後付けで、
そう呼ばれてはいるが、そもそも向付として作られたわけではないのかも知れないのだ。
いったい何を食べていたのだろうか❓❓❓
疑問は強まるばかりだ。
我々はともすると現在定着している茶道の姿が、あたかも400年前からあったかのような錯覚に陥る。
しかし、桃山期の陶磁器が必ずしも茶の湯のために作られたとは限らず、
茶の湯とは違う、我々の知らない富裕層の贅沢な遊び方があったのかもしれないのだ。
いやぁ、ロマンチック!!

 

そんな風に想像を膨らませると、
ますます桃山陶磁器(あえて茶陶とは言いません)に引き込まれて行く
自分に気付く、今日この頃でございます。

 

(I)

 

 

眼の力

 

眼の力と言っても、昨今言われるメヂカラ👀ではない。

 

先日、東京美術商協同組合の秋季オークションを体験してきた。
このオークションは、東京美術商協同組合に所属している美術商だけが参加できる、プロだけのオークション。
出品されている美術品の中にはミュージアムピースも混じる、
その辺の骨董市とはレベルが違う、ハイエンドな市場。

 

店主の意向で勉強のために同行したのだが、体験してみてはっきり分かった事があった。
それが「眼の力」。

 

行くまでは、先日ブログに書いた「センスを研く美術館巡り」みたいな感じ🎶 と思っていたのだが、行ってみると大いなる勘違い。
そこはプロがしのぎを削る本気売買の場。
もちろんキャプションなんかあるわけもなく(笑)、本物だという保証もない(泣)。
頼りになるのは本当に自分の「眼の力」だけ。
こんなに怖い買い物の場、見たことない。。。

 

あらゆるジャンルの物が出ているジャングルのような場所を、とりあえず、アルテクラシカで慣れ親しみつつある茶碗だけに絞って、店主の後を必死でついて行く。
はっとする優品から、訳のわからない迷品まで混在していて、まさに玉石混合。
オークションでは競りあげるサクラ役もいるらしいので、真贋、クオリティ、そして価格、全ての見極めが「眼の力」によるものなのだ。
店主がなぜ、美術館でのあの見方を勧めるのか、背に汗をかきながら分かった気がした。

 

新人の私に要所要所で解説をしてくれる店主の言葉を聞き漏らさないように、必死。
残念ながら、私にはまだまだ、はっきり見えてこない。

 

アルテクラシカに並ぶ江戸時代の美しい茶碗たちは、店主が店で絶対の自信を持ってお見せできるよう、本当に厳しい「眼の力」によって選ばれし物たちで、
簡単に並んでいる訳ではなかった。

 

凄い世界を見てきたものです。

 

M

36人の侍

 

今からちょうど100年前。
1919年の暮れも押し迫った師走20日。
日本美術史上に燦然と輝く大事件は起きた。
秋田佐竹家に長きに渡り秘蔵されていた、佐竹本三十六歌仙絵巻の分割である。
この離れ離れとなった三十六歌仙絵が、過去最多規模で、
今秋、京博に集結している。
佐竹本と言えば、古美術商にとっても雲の上の特別な存在。
正直、「扱う事もないだろうが、一応見ておくか」、くらいの軽い気持ちで赴いた。
が、しかし、集結して束になった佐竹本は半端なかった。
過去に単体で見た事はあったのだが、集結する事によってただならぬオーラで迫ってきたのである。
分かっていなかった自分を恥じ、そして無性に感動した。
「こんなに凄い物が秋田の地に眠っていたのか!1人で買いきれないなら、分割してでも海外流出を防ぐのだ」と
100年前に鈍翁を奮い立たせた何かが伝わってきた。
そして、分割された三十六歌仙への各持ち手の思いが、各々の好み表装という鏡に写されている。
心を打たれるエピソードがある。
住友家15代当主春翠は、各持ち手が様々な趣向を凝らして披露茶会を試みたのを横目に、生涯ただの一度も茶会で使う事はなかったと言う。勿論、門外不出。今も住友家を離れていない。
佐竹本の一角を担う役目への並々ならぬ覚悟と敬意が感じられ、美術品に向き合うその姿勢は、ただただ美しい。
今回の展覧会では、歌仙絵それ自身の素晴らしさを楽しむのは勿論だが、
同時に、長きに渡り秘蔵された国の宝を、力を合わせて後世に繋がんとした36人の侍たちの物語としても味わうべきだ。
レベルは違えど、後世への繋ぎ役と言う、古美術商の本懐を思い知らされ、背筋が伸びる。

 

11/24まであと僅か。
決して見逃すなかれ。

 

(I)

 

 

桃山にしびれた

 

やきもの好きにとって特に忙しい、2019年の秋。

 

サントリー美術館の「黄瀬戸・瀬戸黒・志野・織部 -美濃の茶陶」展は、

以前ブログ「躍動する美濃に想う」でご紹介しましたが、

その後何度も足を運び、桃山の圧倒的なる美しさに浸っています。

 

回を重ねるごとにじわじわと魅力が伝わってくるもの、

始めにいいなと思ったものは色褪せず輝きを増しているものなど、
第一印象でどう思うか、自分の感覚を大切にしつつ鑑賞することで、
面白いくらいに美術品と向き合った時に心が敏感に反応するのが分かるようになりました。

 

 

そんな心躍る展覧会も、名残惜しい限りですが、11月10日(日)で終了となります。

 

最後の見納めに、もう一度行こうと思います。
桃山にしびれた、という記憶をきちんと心のうちに残すためにも。

 

皆さんも、是非サントリー美術館へしびれに行ってみてください。

 

アルテクラシカは、明日11月4日(月)祝日のため営業しております。

茶碗ともども、心よりお待ちしております。

 

A

 

Arte Classica | アルテクラシカ。江戸時代及び現代作家の抹茶茶碗を扱う店。

アルテクラシカは、古美術商石黒ギャラリーが根津美術館の向かい側にオープンした、江戸時代(古美術)及び、現代作家の抹茶茶碗を扱うお店です。併せて、現代の生活空間で抹茶を楽しむための、新しいスタイルの茶器・茶筅・柄杓等の取り扱いもしております